パーキンソン病患者さまへ

リハビリテーションのススメ

パーキンソン病

パーキンソン病の治療の中心となるのは、薬物療法とリハビリテーションです。ヤール分類ステージⅢまたはⅣくらいになると、侵襲性のある治療を選択せざるを得なくなります。病気の進み方は個人差がありますが、初期の方が進むスピードが速いため、早めに適切な治療を受けて、規則正しい生活(薬のきちんとした服用、積極的なリハビリテーション)を送ることが大切です。パーキンソン病に対しリハビリテーションが有効であることはガイドラインで示されています。

パーキンソン病患者さんは姿勢に問題が生じ、脊椎の変形から腰痛、椎間板ヘルニア、圧迫骨折等が発生しやすいので、発病当初から、姿勢に留意することが重要です。

パーキンソン病の症状のなかで、当院への相談が多いのは「すくみ足」です。「すくみ足」は薬で有効性が高いものはなく、リハビリテーションの中で、音刺激に合わせた歩行練習、視覚刺激による足の踏み出し訓練が一般的ですが、結果として、患者さん自身の中で歩行リズムを形成し、「すくみ足」の軽減を図っていきます。「すくみ足」は発話、書字、歯みがきなどの動作においても見られるものですから、それらの動作にも応用していきます。

保険外の治療法として、反復経頭蓋磁気刺激療法(rTMS)もあります。当院の齋藤洋一は大阪大学医学部在職時代、rTMSによるパーキンソン病治療にも尽力し、「すくみ足」にrTMSが有効であることを報告しております。当院では自由診療として、rTMSを受けていただけます。

参考文献
パーキンソン病診療ガイドライン2018 第11章 パーキンソン病のリハビリテーション
Okada K, Takahira M, Mano T, Uga T, Konaka K, Hosomi K, Saitoh Y: Concomitant improvement in anti-saccade success rate and postural instability gait difficulty after rTMS treatment for Parkinson’s disease.Sci Rep 11: 2472, 2021
Yokoe M, Mano T, Maruo T, Hosomi K, Shimokawa T, Kishima H, Oshino S, Morris S, Kageyama Y, Goto Y,Shimizu T, Mochizuki H, Yoshimine T, Saitoh Y: The optimal stimulation site for high-frequency repetitivetranscranial magnetic stimulation in Parkinson’s disease: A double-blind crossover pilot study. J Clin Neurosci 2018, 47:72-8
Maruo T, Hosomi K, Shimokawa T, Kishima H, Oshino S, Morris S, Kageyama Y, Yokoe M, Yoshimine T,Saitoh Y: High-frequency repetitive transcranial magnetic stimulation over primary foot motor area in Parkinson's disease. Brain Stim 2013, 6:884-91
齋藤洋一:パーキンソン病に対する反復経頭蓋磁気刺激(rTMS)治療 総合臨床 59:2441-2447, 2010

この患者様は、無動、すくみ足が顕著な方です。有効な薬もなく、阪大病院を受診されました。両側大脳運動野に反復経頭蓋磁気刺激(rTMS)を施行した所、顕著な改善を認めました。rTMSを継続的の受けていただくことが健康保険で認められていないため、両側大脳運動野に電極を留置し、継続的に刺激(MCS)することで、無動、すくみ足は顕著に改善しました。

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